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2026
Vol.5

​今井喬裕  MARGINAL BLACK
7月9日 - 8月2日

2024_今井喬裕「preparation」100F_白日会.jpg

【開館日】

 

 会期中の木・金・土・日曜日

【開催時間】

 

 10:00 - 17:00(最終入館16:30) 

【出陳作家】

 

今井喬裕 Takahiro IMAI

 

 

 


今井喬裕「preparetion」

ベン・シャーン「伝導の書」

​今井喬裕 ​MARGINAL BLACK

HOKUBU記念絵画館

アートとは古い意味では技術を表す言葉です。現代では日常の生活を彩るあらゆる品物にアートの名が与えられますが、それは芸術という言葉で説明されるアートとはちょっと違った意味を持つようです。技術的な進歩により芸術は着実に成長しましたが、技術があまり効果をもたない外観を呈しているのが今のアートで、その効果も個々の作品により雲泥の差があることを我々は自覚しなければなりません。アートは実用本位の技術だけではない新しい表現の中にあるといえます。
今井喬裕の作品も、あるものは人体の構造を的確にとらえ、微妙な表情を観察して、入念に仕上げられています。これを技術と訳しても問題はありませんが、モデルの実体に迫るようなものの見方や、眩いばかりの刺激を作り出すのには技術以上の才能というかセンスが必要であり、これはアートと呼ぶべきものではないかと思います。それは美しい場面を作り出す方法だけでなく、文化の気配がする性質を持っています。
ただ、その人物画には美的なもの、感情的なもの、そのどちらに属するかわからないものも多く、人形のような固さはないのですが、時代の作り出した表情としたしか言いようのないものもあります。確かに過去の人物画とは違いを感じるのです。そう考えると、今井の表現の本当の価値とは、言語化されていない新しい感情を発見することなのかもしれません。

 
​20世紀前半の洋画は、いまからみると画家ひとりひとりの個性的な表現が十分でなかったと思われます。ことによれば、西洋的な表現を受容してきた日本近代洋画の理念というか、体質がまだ戦後の無差別な美術運動をとおってもまだ生きていたためかもしれません。人物画においても人間の心の表現である表情に変化が少なく、心の浮き沈みや感情のこまやかな表現というよりも、絵作りのための美的形成をしている気がするのです。人間ひとりひとりの性質が違うように、画家の方でも表情を強調したり、つつしんでみたりするしなやかなセンスを見せてくれたら、どんなに楽しいかと思います。
しかし、今井喬裕はそれとはちょっと違った目標を持っているようです。彼の人物を写実的にまとめた作風は表情に富んでいます。さりげない目つきや、控えめな微笑み、何とも言えないそれは、感情を画面に投影した傾向があります。それに伴う見る側の心の反応は、時代の経験をそこに移し入れることで、アートとして我々の前に立ち現れるものかも知れません。時代の中立をして美の判断が起きるものです。それは画家の個性的なものが表されるのですが、その探究によって万人に共通のものも際立たせます。それはファッションをひっくり返した時代の裏側にまで徹する訴え方です。本展は時代を鋭く抉ることで熱烈な共感と支持を受ける今井喬裕の展示です。

 
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今井喬裕「chess」

HOKUBU記念絵画館

HOKUBU Memorial Picture Museum

HOKUBU記念絵画館 

〒062-0911北海道札幌市豊平区旭町1-1-36

Tel : 011-822-0306(代表) 

Mail : kaigakan@hokubu-kinen.or.jp

 

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