2026
Vol.2
萩原英雄 展
2月26日 - 3月22日

【開館日】
会期中の木・金・土・日曜日
【開催時間】
10:00 - 17:00(最終入館16:30)
【出陳作家】
萩原英雄 Hideo HAGIWARA
萩原英雄
HOKUBU記念絵画館
近代の木版を切り開いた祖といわれ、木版画でありながら木版画とは思えない、数々の作品を生み出した萩原英雄は1913年甲府に生まれました。東京美術学校の油絵科を卒業した彼が、木版画を始めるようになったのは結核の療養中に、年賀状を作ってからでした。写実から抽象への転換を図っていたこの時期に、彼は木版画との運命的な出会いを果たします。そして、彼はこの木版画で何とか油絵に匹敵するような深みのある表現が出来ないかと試みます。
はじめは手探りでの制作でしたが、「画面摺り」や「木版凹版」など画期的な技法を次々に生み出し、萩原は一躍、日本版画界の寵児となりました。そんな萩原の版画を評するとき、ある人は、「抽象版画」という呼び方もします。しかし、萩原の意識の中ではあくまで伝統的な木版画からヒントを得たもので、時代の動向とは距離を保ったものでした。萩原が標榜したのは、「装飾的な平面の空間」でした。それは自らが信じた芸術的理念を追求するための抽象です。
現代において、写実的な表現と抽象的な表現との間に、厳密な一線を引くことは難しい具象があります。その具象は、まったくの虚無でも、客観的な実在でもありませんが、二次元の画面に与える表現の妥当性は大きいものがあります。実際にその効力は現実と等価か、現実以上のときもあります。それは、基本的には想像を掻き立てる夢や想い出の形をとりながらでも、鑑賞者の頭の中で目に見える現実の再現としてありありと目に映るものとなります。「美とは何か?」を考えるシリーズ、二回目の本展は、伝統を足場に新たな表現を切り拓いた萩原英雄の美の世界を紹介します。
樋勝朋己 バスに乗っていくから
