2024
Vol.6
現代の食みあと
8月29日 - 9月29日
【開館日】
会期中の木・金・土・日曜日
【開催時間】
10:00 - 17:00(最終入館16:30)
【出陳作家】
宮本承司 Syouji MIYAMOTO
彦坂有紀 Yuuki HIKOSAKA
若木くるみ Kurumi WAKAKI
大田香 Kaori OTA
高橋脩 Osamu TAKAHASHI
若木くるみ「土俵際」
現代の食みあと
HOKUBU記念絵画館
生命の維持にはじまった食の道は、もともと日常生活とともにありました。それがいつの頃からか人を喜ばせるものへと発展し、特質を持った文化へと変わっていきます。文化とは高度な技術と良質な素材にほかなりませんが、その中でも、近年は美食の占める割合が大きくなっています。現在はその豊かさの頂点を迎えている気がします。
しかし、昨今では豊かな自然の中で成長した産物を温存して、次の世代に使えるようにしようとする動きもあります。我々は、地方の生産に適応した量の食材の提供を、経済的な発展よりも優先して受け継ぐべきだと考えているのです。それが動植物の乱獲に駆り立てる大量消費の社会構造から解放するものだけに、大きく認められつつあります。人間と自然の正しい共存の姿を認識する一つのポリシーとして奮っている気がするのです。
食という立場に立って、都会を理解すると、思想的にも、感情的にも、ネガティブな歴史が強調されることもあります。その歴史は、すなわち食品ロスを意味し、食材の調達は新しい流通のシステムで操作される時代にさしかかっているようなのです。それは生活のなわばりを正しく認識し、どちらが幸福かという認識の上に立って、経済の立て方を決めるその人なりの選択にすぎませんが、ここに現代の文明が成し遂げた生活上の成果と失敗の双方があります。
都会のマンションに住む人々は幸福であるというイメージがあります。彼らの食卓には高級な食材は流通に乗って並び、部屋のクローゼットには、流行の衣服が溢れています。そこには幸福の生活があると思われています。しかし、そこには幸福のためよりもむしろ、公共および社会の発展を図る支配者の意志が認められます。