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2024
Vol.3

​伝統とつながった幸福のかたち
5月23日 - 6月23日

【開館日】

 

 会期中の木・金・土・日曜日

【開催時間】

 

 10:00 - 17:00(最終入館16:30) 

【出陳作家】

 

 中村美穂 Miho NAKAMURA

​ 平林孝央 Takahiro HIRABAYASHI

 清水遠流 Touru SHIMIZU 


中村美穂「陽に触れる」

ベン・シャーン「伝導の書」

​伝統とつながった幸福のかたち​

HOKUBU記念絵画館

平林孝央は道祖神をテーマにして作品を作っています。道祖神とは道の辻にある守護神のような存在です。それが実態を欠いた幻想に過ぎないものだとしても、画家はその雰囲気を巧みに捉えているようです。

例えば作中に自ずと表れるのは異世界と現実との境界線です。それはあの世とこの世であり、彼岸と此岸ともいう、宗教や言語が違っても分かり合える可能性を持った生と死の概念です。その意味では独特の女性像は人生の夢物語にも似た儚さを象徴しているように思えます。それは永遠に躍動する世界との対比でもあります。

ところで作家は背景がその世界観を表すように、モデルの顔をあえて無表情にしているといいます。世界というのは自然と人為の絶妙なバランスで成立しているものですが、画家はそこに象徴的な役目を与えているようです。つまり人物と背景との間に世界を表す新たなものとしての役割を生み出そうとしているようなのです。そこには神の目に映るような姿で再現された超現実的な世界観があります。

こうした方向性は作家を活ける宗教家として、その作品の思想をも高くするものです。それは人間と自然との関係に関する積極的な考察を抜きにできるようには思えません。自然の成り立ち、神という視点の手応えが感じられるのです。

宗教的な伝統に立脚されたテーマはそこに感情移入とは違った、作品の立場を見出すのであり、神社に超宗教的な性格を与えるような、象徴の複合体が感じられます。それは生と死の両面が中心をなした世界観の産物です。作家が望むのはその作中に神の視点の結晶の表れを設けることなのかもしれません。

 樋勝朋己 バスに乗っていくから

平林孝央「湛」

HOKUBU記念絵画館

HOKUBU Memorial Picture Museum

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