2022
Vol.01

アジアの中の日本

チラシ_オモテ.jpg

1・2階展示室にて開催

【 会 期 】 2022年1月20日(木) -  3月6日(日) 

【 開館日 】 会期中の〔木〕〔金〕〔土〕〔日〕曜日

【展示作家】  高橋美則 / 真野 広 / 辻 真砂

            Kabi Raj Lama 他

※3階HOKUBU文学展示室では

【俳句と詩との余白の美】を開催いたします。

_MG_3389.jpg

Kabi Raj Lama 「Into the harmony」

_MG_3430.jpg

高橋美則「雲崗二十窟」 

_MG_3431.jpg

ポール・ジャクレー「中国の高官」

アジアの中の日本
​<1・2階展示室>

高橋美則は京都芸術大学油絵科を卒業後、国画会を中心に活躍した画家です。日本の四季折々の自然を滋味に溢れる色彩で描くことに定評がある彼は、日本のルーツを広くアジアに求め、中国や韓国を題材にした作品も残しました。その目的となったのは、インドに発祥した宗教を中国的に消化した仏教の美術です。彼が描く石窟に安置された仏像の健康的な生命感は、彼自身の美意識に通ずるものがあります。ただ、彼の求めた方向性は、宗教的な理想にとどまらず、持ち前の知性と探究心で、そこに付加的な表情を加算し、対象と自らを結ぶ手段を洗練させています。彼は、時にありのままを忠実に描きながらも、仏像とその周囲に、背景よりもやや明るめの色を用いることで、内から発する光の演出を試みています。背景と解け合うようなそれは、具体的なモノの存在感を極力排して、優しい色彩で包むことにより、人間の素直な性質への想いを誘っています。 洋画家として知られた高橋ですが、それと並行して用いた技法が墨彩画です。その技法は透明固形の水彩が紙に浸透する速度まで計算されるなど、巧みな筆さばきの中に工夫や創意による緻密な組み立てがあります。そして、アジアを題材にした作品でも主に用いるのはその墨彩画です。彼の墨彩画は彩色も施しますが、墨のモノクロームだけで様々な表現をする水墨画も、その起源を辿ると着色の手法が行われており、このことからも古くは中国に由来するものと言えます。そして、洋の東西を融合した高橋の墨彩画しかり、日本文化の成り立ちを語る上で、中国の影響は欠かせません。 また、和辻哲郎は「風土」の論の中で、東アジアを指して湿り気の文化だと述べています。風土的な気質は、作風に変化を生み、その思想にも影響を与えるものです。高橋美則の墨彩画の、にじみやかすれに見られる存在の儚さや、絵の具の質感のあっさりとした軽さなどは、アジアの風土から生み出されたものといえます。近代の日本では、西洋文化の輸入が盛んでしたが、時代を遡ると宗教や各種の流通など、アジアの諸地域から影響を受けていることは周知のとおりです。このような考えから、今一度アジアの中の日本という視点に立ち戻った時、そこには、私たち日本人の精神的なルーツの一端を窺い知ることが出来るのではないでしょうか。 本展では、この観点に立ち、高橋美則が題材を求めたアジアの作品を中心に、西洋を積極的に受け入れた日本が、どのようにしてアジアを捉えたか、東洋的な美に立脚するような高橋の墨彩画を糸口に、アジアと日本の共通点や差異を見つめる事などを通じて、「日本固有の美の精神」を探りたいと思います。

俳句と詩との余白の美 
<3階HOKUBU文学展示室>

余白とは何も記されないで白く残っている部分です。簡単にいえば省略です。暗示ともいえます。たとえば、余白に囲まれた中にポツンと色をにじませる表現では、印象に一つの形態を与えることもあります。その無色透明な空間に漂う微妙な働きを説明するために、松尾芭蕉の「奥の細道」とHOKUBU記念絵画館のオーナーである小西政秀の詩を展示したいと思います。俳句のようには流行しないオーナーの詩ですが、このことと文学的な価値を簡単に結びつけることは出来ません。すべてを云い尽くすのではない透き間だらけの組み立てを余白美が光る絵画とともにご紹介します。

HOKUBU記念絵画館

HOKUBU Memorial Picture Museum