2022
Vol.02
ブルーな方が格好いい
BLUE IS COOLER
< 1・2階展示室 | ブルーな方が格好いい >
【 会 期 】 2022年3月24日(木) - 5月15日(日)
【 開館日 】 会期中の〔木〕〔金〕〔土〕〔日〕曜日
【展示作家】 正木 隆 / 澁谷美求 / 鈴木健介 / 狸小路エリ
白神政史 / 栗原一郎
< 3階展示室 | HOKUBU文学展示室 >
文学と絵画の綿密な関係を基盤とした展示を行っています。
Cover 澁谷美求 Miku SHIBUYA 「青の楽園」
正木隆 Takashi MASAKI 「チューブ」
鈴木健介 Kensuke SUZUKI 「街の灯」
狸小路エリ Eri TANUKIKOJI 「薔薇と十字架」
画家が青年期を越えて、それなりに強い自我を確立するまでに、自分のぶらさげてきたコンプレックスを捨てようとして、うれしく微笑む時があるものです。本能として孤独を愛する、伸び盛りのこの時期には、もちろん将来に対する不安もあります。したがって、絵とごまかしのない対話をすればもっとよいものが描けると信じることが大切なのです。正木隆も自分の人生経験というものを普遍化する際には、かなり自由に対話の相手に穴を作り、過去の自分を埋めているようです。画家として自分一人だけの殻にひっこむと落ち着きが出て、心さえ澄んだ気持ちになるものだからです。
正木隆は自分の特徴、つまり自分のもっとも主要な表情を表現する色を手に入れました。それは、トンネルの中から、見える光のように、素直な心のやすらぎが詰まった世界のようです。ところで、コンプレックスが自我に抑圧されることはいいことですが、絵画に安定を作り出す画風の確立というのは、えてして青年期特有の、あのクールで、キラキラした輝きを失うことにもなります。それは不安を免れて安心を得た人の喪失感という逆説を含んでいるだけに、我々は一種のさびしさに襲われます。しかし、今は無きそのありし日の輝きは、いかにも美しい余韻が続く絵の中にだけでも、見られればよいのかもしれません。
<3階HOKUBU文学展示室>
HOKUBU記念絵画館では、本年から文学と絵画の密接な関係を基盤とした展示を企画しています。たとえば詩や小説もそうですが、評論というものも広い意味で文学といえます。評論が作品の見方をどう変えて、どのような効果をもたらすかをとらえることも美術館の大切な役目です。もちろん、そういうこと抜きに、展示に直接ぶつかっても、作品の醍醐味は味わえると思いますが、作家と享受者を赤い糸でつなげる評論の経験に目をふさぐことは賢明な状態とはいえません。作品のより良き理解を培うものとしての評論を元にした展示を企画します。