2026
Vol.6
小林麻美と装飾的なリズム
8月20日 - 9月13日

【開館日】
会期中の木・金・土・日曜日
【開催時間】
10:00 - 17:00(最終入館16:30)
【出陳作家】
小林麻美 Asami KOBAYASHI
桐月沙樹 ASaki KIRIZUKI
北岡文雄 Fumio KITAOKA
小林麻美「timescale」
ベン・シャーン「伝導の書」
小林麻美と装飾的なリズム
HOKUBU記念絵画館
小林麻美のこれまでの作風は具象でした。絵の前に立つと掴める位置に何かあるというものでした。しかし、最近の作風には独自の装飾的な効果を加えています。そこには色を限った配色の画面構成に整然たる秩序があり、抽象的な幾何学の羅列ではない、息づくような造形の律呂が表されています。そして、その色彩とフォルムが捉えるリズムは、横に、縦に、さまざまに組み合わされますが、その本質としてあるのは、現実を認識しながらも、絵を見る自分という視点を忘れない目と対象物の中間に何かを介入するものであると思われます。それは、画面上でイメージを追いながら、その繋ぎ目もまるで寄り添うように隙間なく埋めて新鮮なシルエットを形作ります。その端正なシルエットは正確に繰り返され、その反覆によって、リズミカルな文様とでも呼ぶべき性格を示しています。そこには金網越しの世界の描写から、次第に抽象化し、文様化した表現の道筋があり、色のコントラストと形の面白さを重視したその文様から、現実の中に貫かれる大きな抽象性を捉えるような作風に発展しているのではないかと思われます。
まだ、画風が発展途上にある時期と思えば、空間や、時間や、装飾性や、偶然性さえも、小林にとっては自分自身のボキャブラリーを構築している時期なのかもしれません。極めて不可思議な、しかし議論の余地のない実感が小林を前進させているのかもしれません。その装飾的なリズムに注目します。
樋勝朋己 バスに乗っていくから
