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2022
Vol.03

今井喬裕展
-状況の構図-

 Takahiro IMAI Solo Exhibition   Composition of the situation

今井喬裕展_チラシ.jpg

【  会 期  】  2022年6月2日(木) -  7月24日(日) 

【 開 館 日 】  会期中の木・金・土・日曜日

 

​【 開催時間 】  10:00 - 17:00  ※70分ごとの時間別予約制

 

【 展示作家 】  今井喬裕(個展)​

 札幌同時開催「今井喬裕展」  2022 7/5(火)  -  7/11(月)

 札幌三越本館9階  三越ギャラリー

 北海道札幌市中央区南1条西3丁目ー8

 ※最終日は16:00に終了します

 ※作家来場予定日:7月9日(土)

「雛衣」25M

人間を描くということは人間の当然の興味に根差しています。それは個々のものを描きながら、普遍的なものにつらなっていて、過去からの経験の蓄積が人間という興味深い存在に対する認識をあらわしています。率直に考えてみて、そこに表現された人間以上に、心を動かし、心にしみる思いをさせる、つまり感情移入できるものがあるでしょうか。造形美術はすべて自分と何らかの関係に立つときはじめて興味が発動するものです。もし、それを感じないならその作品は失敗と言えます。 今井喬裕が学生時代に人物画を「楽しい」と思ったのは不思議ではありません。二十年近く心魂をそそいできたのも分かります。人間を素材として、表情やポーズ、そして特徴のあるクラッシッシクな衣装が結びついた今井の人物画は新しい関心をも促進します。それは一つの欲求です。そして私たちもまた今井の作品に接して、胸がさわぐような強い興味を感じるのは当然の欲求といえます。顔の造作、立っているポーズだけでも、美の欲求にこたえるものだからです。造形美術を扱う作家が人間に関心を示すのは必然的な欲求です。たとえば彫刻でも人体以上のモチーフはなく、それは色彩を扱う絵画や、他の芸術でも同じかもしれません。 もちろん興味の強弱のみが作品の価値を決定するものではありません。その根本にはしっかりとそこに実在するという表現性がなくてはいけません。そこには技術の問題が入ってきます。人間に備わった形をぴったりと与えられた絵画はそれだけで、人間の存在をいっそう強く実感させます。優れた芸術にいかに技術が必要かはいうまでもありません。今井喬裕は専門家として、素人とは区別される技術を持っています。それは訓練によって成り立つものですが、その訓練はその仕事の理解が、つまり古いものを知っている前提がなくてはなりません。細密描写は絵画の新しい領域であり、その現状に対する十分な自覚が、技術の追求だけではない絵画の中身をつくろうとさせたのです。もちろん中身といっても、今井の作品は明快で、訳の分からぬものを高級とするような時代の影響はありません。

「雛衣」25M

万人の理解できない絵画が画壇を席巻した時代はありましたが、今井の作品はそういう先入観の構えなしに、直接心にうったえる形で提出されるものです。ただ人間の興味には、はっきりとした境界がなく、美的なもの、感情的なもの、そのどちらに属するのか分からないことが多く、特に主観にかかわる部分には少しゆがんだところもあります。今井にはメランコリーに対する興味があります。今井は明快さの中に、単純ではない表情やポーズを反映することで、実際的な趣味で世に受け入れられるのではない、芸術の挑戦をしているようです。もちろんそれは感覚的に味わうだけでも心を動かす作品ですが、笑顔が少なく物語性が深い、静寂な精神性が感じられる作品なのです。 

状況の構図のポイント

Points of composition of the situation

2021_今井喬裕「Sincerity」8P.jpg

1. 顔の表情  

 

絵画になる以上は色や形が美しいのはもちろんだが、今井の作品には無限の表情がある。なんとなくする目つきや、知性を感じるため息、思いがけない時にふっと生まれる顔つきは、それがさらに心の状況を生み出しているようだ。表情とその意味は相互に結びつき構図の調整の作用を持つ。

「Sincerity」8P

2. 自然なポーズ  

 

それは奇抜さをことさらねらったポーズではない。奇抜さをねらうと絵は厚化粧のこしらえものになってしまう。今井が面白さを感じるのは、あたかも健康な肌の色が外にあらわれたような、おのずとしみ出るようなポーズだ。それは構図に働きかけ、構図を変化させる。

2020_今井喬裕「Private Detective」120P.jpg

「Private Detective」120P

2013_今井喬裕「うつせみ」50P.jpg

3. 新しいモチーフ  

 

新しい傾向をひらく画家は、新しいモチーフを求めて仕事をする。それは古いものを排除することではない。新しさの自覚は、時代にとって新鮮な経験であるかどうかだ。価値が気づかれなかったモチーフに、憧れを発見させるのは絵の力だ。それは構図の実感を大きく、深くせしめる。

「うつせみ」50P

Exhibition Archive

HOKUBU記念絵画館

HOKUBU Memorial Picture Museum

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