2024
Vol.3
何を描くかは線次第
4月4日 - 5月5日
【開館日】
会期中の木・金・土・日曜日
【開催時間】
10:00 - 17:00(最終入館16:30)
【出陳作家】
朴一南 Park.IL-NAM
南桂子 Keiko MINAMI
樋勝朋巳 Tomomi HIKATSU
オコイマツ Okoimatsu
ベン・シャーン Ben SHAHN
ベン・シャーン「伝導の書」
何を描くかは線次第
HOKUBU記念絵画館
線は、垂直線や水平線そして対角線だけでなく、肥痩線や、遊糸線、琴弦線などさまざまに分けることができます。しかし、どんな線でも、基本的には一つの色で描き出されたもので、そこには、ある決まりを持って配置された姿があります。たとえば、日本では描かれる物体とその他の世界との境目を輪郭線で描き、その線を単純化する方法が主流ですが、その線を使って描かれた画面は、幾何学的な美しさのもとで、装飾的な構成を主体としています。
そして、線をいかに美しくみせるかという流れは、版画などの技法的な条件のもとでも、無地の下地へと向かう展開に共通点がみられます。線は色や形とともに基本的な造形要素の一つですが、その秩序ある動作が根源をなす造形は、いかようにも変化し、可能性も拡大しつつあります。特に現代の版画においては装飾的な感覚で、技術的にも工夫がみられます。そこには様々な線の総合性が感じられます。
オコイマツ「誰かが試みに祝宴をあげる-ロンドン」」
南桂子「森の中の城」
線と、その線を利用した彩色法は、眼に見える対象を、そのまま造形的な対象とするだけでなく、その物の形に潜む装飾的なリズムを捉えるものです。それらは視覚的にはもちろんですが音楽的にも喜びを見出しているものと思われます。装飾は人間にとって本能的なものですが、さまざまな線のかたちとリズムの中に、ひとつの装飾的原理として、はっきり理解することができます。輪郭線を活かすために背景にモノトーンを用いて、装飾と全体的の調和に基本的な性格を持つなど、線を際立たせる立場から要求した素敵な関係をお楽しみください。