チラシ_オモテ.jpg

作品の大きさは、描く対象の大きさに比例するというより、作者が見たことや感じた内容と調和するように扱うのが普通で、視覚的な効果ならびに見るものを誘い込むような体感的な効果として、意図的に選択されるものです。このやり方は、その時その時の気まぐれもありますが、方針とか、法則に還元できない例がない訳ではありません。たとえば、欧米ではイスに腰かけて鑑賞するのが一般的な習慣なため、その目的に叶った大きさというものが適当といえます。一方で、日本では浮世絵などにみられるように、あくまで私的な鑑賞が主流であり、そのため作品を手で支え、目に近づけて観る文化が根強いようです。ですから、それは、瞳が意識する大きさに由来するばかりでなく、時には作品の内容までも、その鑑賞に共感するように表されます。つまり、大きな版画の良さを認めていないのではなく、作品のパーソナリティとして大きな声ではなすのではなく小さな声で呼吸する世界なのです。それは絵と間近に接してもらう工夫であり、時間をかけてじっくり鑑賞してもらうのに、わざと画面を小さくしているようです。

_MG_3380.jpg

清宮質文 Naobumi SEIMIYA 「五月の夜明」

_MG_3381_edited.jpg

山中 現「空と石 Ⅱ」

つまり、大きい画面で簡潔に描くと、その調子につられて細部に意をとめない可能性があるので、作品の印象をはっきりするのではなく、ある目的を持って故意に分かりづらい調子で描くのです。

弱弱しい調子を出すために、色調を淡くするとか、ぼかすというのもその一つです。その奇妙なくせの原因は、必ずしも清宮質文の影響だと決めつけることはできません。我々絵を描くとき手を使いますが、木版画においてはそこに彫刻刀の効果が生じます。画面全体が関係するその調子には、もくもくと版に向かう過去の経験も入り込みます。版画家は版画の持ち味で作品の大きさを選ぶのです。それは日本的な鑑賞の特色を多分に帯びているようです。

本展はそういった意味で、画面を小さくしている作家たちの展示です。作品の表情や、色の調子には、その小さな画面に見合った何らかの内容があると捉えられるでしょう。

IMG_20210905_160350「ひとつの願い」.jpg

松本弥雪 Yayuki MATSUMOTO 「ひとつの願い」

_MG_3385.jpg

木村繁之 Shigeyuki KIMURA 「冬の終わり」

_MG_3382.jpg

水谷恵 Megumi MIZUTANI 「蘇生」

水谷恵 Megumi MIZUT

2022
Vol.04

ナイーブに近い小さなポエム
 

【会期】

2022年 6月2日(木) -  7月24日(日) 

【開館日】

 

会期中の木・金・土・日曜日

【開催時間】

 

10:00 - 17:00  ※70分ごとの時間別予約制

【出陳作家】

三岸好太郎 / 香月泰男 / 木村繁之 / 山中現

 

清宮質文 / 水谷恵 / 鈴木健介 / 永田力 / 有元利夫

松本弥雪 / 中西静香

HOKUBU記念絵画館

HOKUBU Memorial Picture Museum