2024
Vol.1
メタモルフォーゼ
1月25日 - 2月18日
【開館日】
会期中の木・金・土・日曜日
【開催時間】
10:00 - 17:00(最終入館16:30)
【出陳作家】
篠原奎次 Keiji SHINOHARA
平出 俊 Suguru HIRAIDE
丸山恭世 Yasuyo MARUYAMA
メタモルフォーゼ(変身)
HOKUBU記念絵画館
日本文学の担い手として世界中で広く認められる村上春樹の初期の小説はアメリカの読者を強く意識したものと思われます。主張や目的が世界的に共通の理解を満たす場合には、世界という視点で現状を打破して、日本を超えることが必要です。それは文学に限らず、なにか新しいものを作る時には、言葉の上でも、習慣の上でも、日本という島国で、日本流に歩き、日本流に考えるだけではダメなのかもしれません。
日本の美術にも世界という視点に立って苦闘した歴史があります。自覚的に異文化同士の衝突から生ずる摩擦を創造のエネルギーにした時代があります。もちろん、それはどんな国でも起こりうることですが、西洋に比べて孤立していた日本は目立つ変化を被ったといえます。その変化は世界的な視点により、より多くの子孫を残すことになり、変化つまり成長を生じさせていきます。そして、それはより良い方向へ変化するようにもっぱら働くのですから、変化に共感して触発された歴史といえます。
ところで、アメリカ・インディアンの文字形式は絵文字だったようですが、言葉の通じない国では表現の手段も変わるものです。視覚的なイメージとアイデンティティが結びついて、新しいメタモルフォーゼを導き入れる絶好の機会を作り出します。そこには個人を超越した力があります。新しいメタモルフォーゼは、思想的な意味を強く持つものですが、清新さとメッセージとが助け合い強い印象を残すのです。次代のジェネレーションは若干の確信を持って変化を続けていると感じます。本展はアメリカを舞台に活躍する三人の作家の作品を通して、心の奥底から湧き出るメタモルフォーゼに注目します。